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主観情報処理研究所

経営情報システム:データウェアハウス(最終更新:2015/12/06 16:33:44 JST)

データウェアハウス

ウェアハウスとは保管庫あるいは倉庫を意味する.文字通り訳せばデータの倉庫である.経営情報システムで取り扱われる大量のデータの活用のために利用されるシステムである.

データウェアハウスの定義と役割

経営における意思決定を支援するために,目的別に統合化して時系列順に収集したデータの集合体.ただし収集されたデータの更新処理は行わず,追加処理のみを行う.つまり新しいデータを順に後に付け加えていく.もちろんデータウェアハウスに蓄積されたデータは単に保存が目的ではなく,必要に応じてデータを検索し,取り出すことができなければならない.そのため,大量のデータを保存しておくための大容量の記憶媒体が必要なるだけでなく,高速に検索,取り出しを実現するための高性能な演算装置が必要になる.

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データウェアハウスの特性

データウェアハウスでは大量のデータを効率よく利用可能とするために次のような機能を備える必要がある.

分析が容易なデータの蓄積機能
業務処理を行う基幹系システムではデータ処理を正確に,迅速に行うことが重要である.そのため基幹系システムで蓄積されるデータは後の分析が容易な形式になっていない.したがってデータウェアハウスは基幹系システムのデータを分析が容易な形に整形して蓄積する機能が必要とされる.
即時的データ抽出機能
利用者がデータウェアハウスから必要なデータを取り出そうとするときに,その時点で基幹系システムからデータを変換しているのでは間に合わない.そのため,基幹系システムのデータを随時変換して蓄積することが必要である.
統合化正規化データの保存機能
基幹系システムのデータの形式はそのシステムの処理に適した形式になっているため,すべてが同一の形式になっていないこともある.形式が異なると利用者が使用する際の障壁となる.そのためデータウェアハウスは基幹系システムの異なるデータを統合して,同一の正規化した形式で格納する機能を有する必要がある.

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データウェアハウスの分析技術

データウェアハウスには大量のデータが蓄積される.そのデータを使って経営上有益な情報が取り出せなければ意味がない.例えば小売店のPOSシステムで商品の売り上げ情報が蓄積されているが,蓄積された情報からどのような状況でどのような商品がよく売れたのかなどが分析できなければ意味がない.データウェアハウスで使用される分析技術には次のようなものがある.

データマイニング
大量の時系列データ(時間順に記録されたデータ)から,そのデータの中に潜んでいる法則性や規則性などの意味のある情報を抽出する手法.このためには人工知能や統計理論などが利用される.過去のデータから未来の傾向を予測するために用いられる.
マイグレーションツール
基幹系システムのデータを変換,修正を加えてデータウェアハウスに移転させるソフトウェア
OLAP
ユーザのためのデータ分析用アプリケーション.多次元分析ツールとも呼ばれ,データの時系列分析,要因相互の関連性分析,層別分類分析などの分析をサポートする
スライシング
OLAPツールを用いたデータ分析で,多くの視点から分析の切り口を変化させていく作業
ドリルダウン
OLAPツールを用いたデータ分析で,全体像から分析対象を絞り込んで詳細化していく作業
ドリルアップ
個別のデータから範囲を広げて全体像を明らかにする作業

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