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主観情報処理研究所

経営情報システム:情報戦略企画(最終更新:2015/12/06 16:33:44 JST)

情報戦略企画

情報戦略を企画立案するうえで重要な事柄について触れる.企画立案では対象範囲を明確にすることと基本的な原則にしたがって立案することが重要となる.

情報システムの対象範囲

情報システムは実際の利用者の業務要件,つまり業務で必要となる手段の提供や業務の流れの改善に応じたものでなければならい.ここで注意すべきことはとにかく情報システムを導入すればよいのではなく,導入して効果が上がる状況にあるかどうかを判断する必要がある.つまりITを前提とした業務上の改革とそれ以前にITを前提としない業務上の改革に分けて考えなければいけない.両者の割合により次の3種類に分類できる(吉沢,前掲書).

非構造化領域
情報システム化の対象外の領域で,非ITの業務上の改革が中心となる.情報化の大正とはならないものの,情報戦略という意味では正しく現状を把握しておくことが重要である
半構造化領域
情報システム化の対象と業務上の改革が混在する領域である.したがって両者を明確にする,つまりシステム化の要件と業務上の改革の要件を区別することが重要である.システム化は,範囲と機能を明確にし,優先順位付を行い,実行する必要がある
構造化領域
全体が情報システム化の対象となる領域である.半構造領域と同様,システム化は範囲と機能を明確にした上で,優先順位をつけて実行することになる

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情報戦略企画の基本原則

国際会計士協会(IFAC)では,ITに関するガイドラインの中で情報戦略企画について次の10項目の原則を示している.

整合性の原則
情報戦略は,組織の経営方針を支援し補完するものとして,経営方針と整合性を保っている必要がある
範囲の適切性の原則
情報戦略企画の範囲は適切でなければならない.広すぎると労力や実施上の阻害条件が多くなるため,最終的な成果が得られにくくなることが多い.逆に狭くとりすぎると断片的になり,有効な成果が得られにくくなる
期間の適切性の原則
情報戦略の策定対象期間は,経営方針や経営戦略と同期して,適切に設定することが重要である.経営方針や経営戦略と同期していないとそれらの変更等を適切に反映することができないため有効な成果が得られにくくなる
費用対効果の原則
情報戦略の具体化にあたっては,常に必要投資(費用)と戦略実施効果を対応させて見積り,戦略の有効性を判断する必要がある
実現性の原則
情報戦略は,経営戦略など上位の戦略による制約と必要資源(投資)の制約の中で,実現性があるものでなければならい.そのため予想される阻害条件に対して十分な検討がなされている必要がある
成果測定の原則
経営的な視点から,定常的に成果測定(目標達成)と進捗状況報告のしくみを設けている必要がある
再評価の原則
情報戦略の企画は,定期的に再評価し,企画策定段階での前提条件を確認し,変化があればそれに対応する修正を行う必要がある.特に情報分野の技術の発展は目まぐるしいため,中期計画は必ず見直しが必要である
周知の原則
情報戦略企画は,策定された後,速やかに関係者全員に周知させる必要がある
説明責任の原則
企画を確実に実行するためには,具体的に実施管理する役割分担と責任分担を明確にする必要がある
参画の原則
経営トップの強い指示がないと実現不可能であるため,積極的な参加が重要となる

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