http:www.sip-ac.jp/sip/konan_text/mis09-02.html,        © 2001 Ayumi Yoshikawa
主観情報処理研究所

経営情報システム:電子商取引(最終更新:2015/12/06 16:33:44 JST)

電子商取引

電子商取引とは

電子商取引(EC)とは,企業で行われる商取引をネットワークを利用して電子化するもの,あるいはそのようにして行われる取引を指す.従来は企業間の商取引に関する書類を電子化して受け渡す,いわゆるEDIと同じようにとらえられることが多かった.しかし近年はインターネットの普及により,インターネットを利用した企業間取引(B2B),あるいは企業と一般の不特定多数の顧客を相手としたインターネットを利用した商行為を指すようになった.電子取引では特にセキュリティがもっとも重要な問題となる.以下では電子商取引に関連する事項をいくつか取り上げ説明する.

[*]下へ▼ ▲[#]上へ

オンラインショッピング

オンラインショッピングとは,インターネットを利用して,Webサイト上に仮想店舗を開設し,そこに顧客がブラウザを使ってアクセスし,商品を検索し,発注できるようになっている商取引行為の形態である.少数の商品を扱う場合は不要であるが,通常多数の商品を扱う場合は商品情報を格納したデータベースとWebサーバを連携したシステムが使用される.また受注処理の際に,商品代金の決済をWebサイト上で行うことも多くなってきている.この場合は,クレジットカードを利用した電子決済が利用されることが多い.電子決済を行うためには,カード会社のサイトと連携したい処理が必要になることに加え,カード番号,有効期限などの情報を暗号化して送信するSSLを実装する必要がある.

オンラインショッピングサイトで有名なものは次のようなものがある.

[*]下へ▼ ▲[#]上へ

電子署名とデジタル署名

電子商取引では言うまでもなくネットワークを利用して電子的に取引を行う.インターネットのセキュリティでも簡単に触れたが,インターネットを介してやり取りされるデータは覗き見,改ざんを行うことも可能である.商取引ではそのようなことがあれば大きな問題となる.そこで取引で使用されるデータの正当性を保証するためのしくみが必要となる.このしくみが電子署名である.電子署名の中で,通信中のデータの改ざんが行われていないことを保証するしくみがデジタル署名である.なお,デジタル署名は覗き見については無防備である.

デジタル署名のしくみ

デジタル署名はいわゆる名前を自筆する署名とは異なる.本文の内容をもとに作られた要約を暗号化したものである.デジタル署名による電子データの正当性の保証は次のような手順になる.ここでは電子メールの内容が改ざんされていないことをチェックする場合を例にする.

  1. 電子メールの本文の内容を,後述のダイジェスト関数(ハッシュ関数)を用いて,要約する
  2. 要約されたハッシュ値(メッセージダイジェスト)を暗号化する.このとき利用する鍵は送信者の秘密鍵を用いる.これがデジタル署名である
  3. 本文とデジタル署名を受信者宛に送信する
  4. 受信者は,本文から送信者と同じダイジェスト関数を使ってハッシュ値を計算する
  5. 受信者は,デジタル署名を送信者の公開鍵で復号し,受信者が計算したハッシュ値と照合して一致することを確認する

上記の流れで,送信者がなりすましでないことと本文が改ざんされていないが確認できる.ただし,通信中の盗み見はデジタル署名だけでは防止できない.

関連用語の解説

暗号化
いわゆる普通に解釈できる内容を,数学的な処理によりそのままでは解釈できない形式に変換すること.
復号
暗号化された内容を元の内容に変換すること
暗号化,復号化を行うときに利用するキーワード.数学的な処理を行うときにそのキーワードを使用する
共通鍵方式
暗号化と復号に同じ鍵を用いる方式.鍵の安全な保管が困難であることと,暗号通信する相手ごとに別の鍵を作る必要があることが難点.ただし暗号化,復号の処理は高速に行える
公開鍵方式
暗号化と復号に異なる鍵を用いる方式.秘密鍵と呼ばれる自分だけしか知らない鍵と公開鍵と呼ばれる一般に公開しておく鍵の2種類を用いる.鍵はペアで1組だけ作ればよいこと1つの秘密鍵だけを確実に保管すればよい点が特徴.ただし暗号化,復号の処理は共通鍵方式に比べて時間がかかる
ダイジェスト関数(ハッシュ関数)
対象となるデータからメッセージダイジェスト(ハッシュ値)と呼ばれる要約を求めるための関数.この間数の特徴は,同じデータから作成されたメッセージダイジェストは必ず一致すること,またメッセージダイジェストから元のデータは復元できないこと(一方向性変換)である

MD5ハッシュ変換(便利Webツール)

PKI関連技術(IPA)

[*]下へ▼ ▲[#]上へ

認証

デジタル署名にも用いられる公開鍵が本当に正しいことが証明されなければ,安全に取引が行えない.公開鍵が正しい持ち主のものであることを証明する機関が認証機関(CA)である.公開鍵と秘密鍵を作成した後,公開鍵を自分の鍵として認証機関に登録する.そうすると復号に公開鍵を利用するときに,認証機関に照会し証明書を受け取ることで,送信者が正しいことを確認することができる.

[*]下へ▼ ▲[#]上へ

電子署名法

電子署名を手書き署名や捺印と同様に通用させる法的な基盤として制定された.内容については以下のサイトを参照されたい.

電子署名法関連(経済産業省サイト)

[*]下へ▼ ▲[#]上へ

このサイトに関するお問い合わせは,連絡先のページをご覧ください.

このページのボトムへ講義資料このページのトップへ

前のページに戻る 1  2  3  4  5  次のページへ進む   経営情報システムの目次に戻る ,        © 2001 Ayumi Yoshikawa