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主観情報処理研究所

経営情報システム:経営戦略の要素と市場環境への適応パタン(最終更新:2015/12/06 16:33:44 JST)

経営戦略(その3)

経営戦略の要素

企業における経営戦略には,次のような要素が含まれるべきであるとされる(吉沢,前掲書).

経営理念
企業の存在目的と組織の価値基盤を示すもの.アイデンティティとも呼ばれる.社是,社訓も経営理念と考えられる.
総合ビジョン
将来を見据えた企業の進むべき方向を示すもの.未来像とも呼ばれる.当然,経営目標と矛盾があってはいけない.
事業領域
経営理念と総合ビジョンに基づいて,企業活動を行う事業の領域を定めたもの.ドメインとも呼ばれる.自社が活動を行う事業領域,内容を明確にする.
コアコンピタンス
自社の行う事業の中で,他社にない自社の中核となる事業.得意技とも呼ばれる.そのため自社の技術力や営業活動などの目に見える優位性のほか,組織学習能力などの潜在的な力を評価認識することがコアコンピタンスの明確化に重要である.
リスクマネジメント
経営戦略を立案するときに考慮される必要がある,リスクの識別,評価,対応の各内容.経営戦略の実行の妨げとなる事項を明確にし,どの程度の影響があるのかを見積,どう対処するのかを検討すること.
評価指標
経営戦略の設定目標が達成された状況を評価するための指標.
フィードバックプロセス
経営戦略を随時チェックして,実行段階の状況に応じて修正されるような学習プロセス.

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市場環境への適応パタン

企業を市場環境への適応から分類すると次の4種に分類される(吉沢,前掲書).

  1. 防衛型企業
  2. 受身型企業
  3. 攻撃型企業
  4. 分析型企業

上記のパタンに分類される企業は市場内で次のように位置づけられる.

リーダ(主導者)
防衛型企業の採用する戦略.自社の市場のシェア(占有率)を高め優位性を保持することが目標.これにより売り上げ増と大量生産によるコスト優位性を確保する.また高いシェアをもとに,ブランドイメージによる顧客囲い込みを図り優位性を確保しようとする.

商品名あるいは企業名がサービス全般を指すような状況.例えば,ゼロックス⇒コピー,宅急便⇒宅配サービス,など

フォロワ(追随者)
受身型企業の採用する戦略.リーダ企業が開拓した市場の動向に合わせた製品を供給して,一定の利益を確保する戦略.リーダやチャレンジャの動向を観察し,迅速に模倣し,開発コストを削減して低価格でコスト優位を保つ.リーダ企業の改良製品を速いテンポで市場に送り込んで,一定の顧客を獲得することもある.
チャレンジャ(挑戦者)
攻撃型企業の採用する戦略.リーダ企業の弱点を突いてシェアを伸ばしてリーダの優位性を失わせて成長しようとする戦略.特に多いのが低品質低価格化,ディスカウントなど価格面での戦略がとられることが多い.
ニッチャ(独自者)
ニッチはすき間やくぼみを指す言葉である.つまり市場の中で他社にはない独自の技術により,特定分野で他社の追随を許さない戦略.このためには自社の分析が重要であるため,分析型企業がこの戦略を採用することが多い.ただし技術的に圧倒的な優勢がないとフォロワ,チャレンジャにより優位性が失われることになる.

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