情報システムの分析と設計:ユースケース図(最終更新:2015/12/06 16:33:44 JST)
要求モデリングで使用されるユースケース図について解説する.
この章の内容
ユースケース図とは,システムの機能とそのユーザあるいは外部のシステムとの関係を表す図である.目的の一つは,システムの境界を明確にするである.システムの中に組み込まないといけない機能の洗い出し,システム外の機能の区別などに用いられる.一例は教科書24ページの図3-1を参照.
UMLの各図に用いられる記号はモデル要素と呼ばれる.ユースケース図で用いられるモデル要素は教科書25ページの表3-1の7種がある.
関連,汎化,拡張,包含は次の構成要素間の関係で説明する.
ユースケースやアクターは単独でユースケース図で使用されることはほとんどなく,相互に結びついている.その結びつきの関係には,先に示した関連,汎化,拡張,包含がある.
関連は,アクターがユースケースの機能を使用したり,逆にユースケースがアクターの機能を利用する関係があるとき,当該のアクターとユースケースを直線で結んで示す.教科書28ページ図3-6参照.
既出のオブジェクト指向設計で説明した,汎化関係(is-a関係,親子関係)がユースケース間,あるいはアクター間に存在する時に使用する.表記方法は,ユースケース間,アクター間いずれも,いわゆる子から親に向けて,具体的なものから抽象化したものに向けて白抜きの矢印を実線で描く.ユースケース間の場合の例は教科書29ページ図3-7,アクター間の場合の例は教科書31ページ図3-10である.
拡張は,あるユースケースを利用している時に,別のユースケースを任意で利用できることを記述している.他のユースケースを利用する側のユースケースの楕円に横線を描いて,横線の下側に「拡張点」と書いて,その下にどのような時に拡張するユースケースを利用するかを記述する.利用される側のユースケースから拡張点を記述したユースケースに向けて破線の矢印を描き,破線矢印の傍らにステレオタイプ<<extend>>を付記する.教科書29ページ図3-8参照.
包含は,あるユースケースが別のユースケースを機能の一部として含むことを表す.既出のオブジェクト指向設計で説明した,part-of関係に相当する.別の言い方をすれば,あるユースケースは必ず別のユースケースを利用すると考えてもよい.包含する側(利用する側)から包含される側(利用される側)に破線の矢印を描き,傍らにステレオタイプ<<include>>を付記する.教科書30ページ図3-9参照
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